いつかやってくる問題 3
「お国と会社のためじゃ。
元気に行きなされ」と医者に激励されて、玄関を出た。
何はともあれ、両親が病気になったときにかかる医者に会え、息子の顔を見てもらったこと、また「親の病状を知りたかったら、いつでも国際電話で遠慮なく聞いてきなさい」というひと言をもらって、幾分肩の荷が降りた。
両親と近くで暮らす親戚を挨拶に回り、何かがあったらよろしく、と頭を下げて回った。
本格的に父が寝込む場合は、妻が帰るかしなくてはならないだろう。
しかし短期で済む症状なら、母と国内にいる妹夫婦で持ち堪えてくれないか、というのが本音なのだが、いざというときだれが本当に頼りになるのか、手を差し伸べてくれるのか、見当もつかない。
男は土産を抱えて、一日でほとんど全部の親戚を回った。
中には、「単身で行くの?」と率直に聞くのや、「奥さんは残るのやろ?」と聞く人がいて、そのつど、身を硬くして「いや、お医者さんも二、三年は大丈夫と言うから、みんな連れて行くわ。
原則は単身赴任は禁止やから」。
と答えながら、汗をかいた。
親戚の手前、なかなかつらいけど、仕事のためというとしかたがないように思います。